石川博品「クズがみるみるそれなりになる」

なにこれ。最初は普通のシーンだったけど、徐々に面白くなってくる。最初は、「やはり俺の青春ラブコメは間違っている。」っぽい残念系ラブコメのノリ。主人公の太一はどうしようもないクズ。で、カマタリさんと出会って、リセットを繰り返して、、、と。ああラブコメだなあーーー、と思って読んでいたけど、後半に入ってくると、会話ターン面白い
クズ太一。それから表向きはニコニコ美少女。でも実態は不愛想、無口な曽我野笑詩。実は不愛想だ、という笑詩との会話が、小説や物語に出てくる会話みたいじゃなくて、そのまんま。日常みたい。

「ホットパンツ良く似合っていますね」
「ありがとう」

こんな台詞でも注目したくなるレベル。不愛想な太一と不愛想な笑詩。二人の気の置けない調子が読んでいて居心地がいい。

あとは作者の該博さ(ムダ知識)から繰り広げられるどーでもいいシーンも結構好きです。この調子は耳狩ネルリの頃と変わらんなー。入香ちゃんの取り巻きに対するしつこいボケとツッコミは癖になる。