寺本耕也「沢木道楽堂の怪奇録」

メディアワークス文庫から出た新刊。本屋で見かけたときに「最近怪奇もの読んでないなー」と思い、購入。
読んだ時の感想としては、意外とテンポが良い文体でさくさく進む感じ。でも、ページの下半分が空白、というようなスカスカだったというわけではなく、きちんと埋まっているから、この人の文体と自分の感覚が
合うんだろうなー。

で、この短編集は、とある女子高生・矢都雪穂が、霊に取り憑かれ、なんでも屋を営む沢木に依頼をした話からスタート。最初の事件をきっかけに雪穂も霊を見ることができるようになり、ますます霊に好かれていく。と同時に怪奇堂にもしょっちゅう行くことに。

最初の二編は、恐怖系。最初の「囁き」を読んだときは、雪穂に迫る恐怖が、しかもテンポの良い文体で描かれるから、ゾクってきたよ。冬なのに。次の「はじまりのひとり」も、続きを匂わせているし、怖い。沢木自身は、霊は見えるけど、除霊する能力があるわけではないから、美神さんのように直接対決するわけではないんだよね。ここが違いかなー。

後半の二編はほのぼの系で、最初の印象とは一転。前半と後半で違う味を楽しめる本でした!